Bad Assortは、7月10日をもちまして活動休止します。
主な理由については、SNSで既にお話しした通りで、復帰予定は未定です。その件についてはここで改めて触れるべきことではないと思っているので、ここではそれ以外の要因について少しお話しさせてください。
実のところ、今回の事情がなくても、このタイミングで活動を一区切りにすることになるだろう、とは思っていました。今回の出来事は、その最後の一押しになったにすぎません。
最後に公開した作品「魔女がお菓子を作るとき」は、構想から完成までおよそ3年近くを要しました。タイミングが重なったのは本当に偶然で、ある時点から「その瞬間」に全ての作業を間に合わせる必要が生じたため、スケジュールを組み直したためです。結果としてその日は予定より一週間以上も早く訪れてしまいましたが、偶然にも数時間前にすべての作業を終えることができました。今振り返ると何かに導かれていたような、不思議な巡り合わせだったようにも思います。
活動を休止する理由は、大きく2つあります。
一つは時間的な理由です。
もちろん、今回の出来事もその一因ではあります。しかし、それと同じくらい大きいのが、実生活とのバランスです。
もともと趣味として取り組んできたこの分野の技術が、ここ数年で仕事との境界を曖昧にし始めています。これについてはあまり深く書けることもないので簡単に済ませますが、主業でやっている挑戦に時間を割くのに吝かでない、という事情です。
もう一つは、動機の問題です。これは決して、「創作へのモチベーションがなくなった」という話ではありません。
そもそも私にとって創作とは、思想を問い直すための自分自身との対話手段であり、自分が認知できる世界にまだないもの、あるべきだと感じるものを補完するための手段です。作品そのものは、その過程で創発されるものにすぎません。
(この思考過程の確認作業として、ついでに製作後記を毎回残しています。この文章もそれと似たようなものです。)
資本主義的な拡大にはあまり興味がなかったので作品に価格を付けることもしませんでしたし、自己承認欲求の満足は別にここでするようなことでもなかったので気になりませんでした。名前を売った先で何かがしたいわけでもないので名前を売りたいという考えも大してありませんでした(全く無いと言うとウソっぽいので、多少はあることにしますが)。多少無理な背伸びをして世の中の潮流に合わせに行ったことはありましたし、それについて色々な発見があったことは否定しませんが、もう一度同じことをしたいかと言われたらかなり強めの疑問符が付きます。私にとっては、そういう作品を単純に技術や完成度だけで比較されたいものではありません。
望もうが望むまいが、人は物と物を比較します。そして、今やその比較対象は生身の人間同士だけではなくなっています。
限られた時間の中で無理に作った作品や、その作者としての自分が、そうした存在と相対化されることを望まないのであれば、自分で引き際を選べる今のうちに一区切りを付けることが、私にとっては一番納得できる選択肢でした。
それに、私が活動を始めた頃は、このようなweb媒体で公開できるような作品を作るための技術は、まだごく限られた人しか扱えないものでした。しかし今では、webサービスや人工知能の発達により状況も大きく変わっています。仮に私が作らなくても、これから先、似たようなゲームはいくらでも生まれてくるでしょう。web媒体を使ったこのようなゲームであることそのものには、もはやこの先それほど特別な価値がなくなっていくのではないかと思います。価値があると言われるのなら考えますが、それをやるのがはたして私である必要があるのか? という話です。
そもそも創作以外でどうやって毎日を過ごしていたのかをよく思い出せないくらいには、創作は自分の生活の一部でした。まだ描き切れていないテーマはいくつも残っているので、時間が許すならまた何かを作りたいという気持ちは今でもあります。ただ、それは少なくとも、これらの問題に自分なりの回答を見つけられたときか、あるいはそれらを乗り越えられるだけの時間と余裕を持てるようになってからになると思います。
そのうち復帰するかもしれませんし、そうでないかもしれません。はたまた全く違う形で妙なものを作っているかもしれません。先のことはどうなるかわかりませんが、今はただ自分にしかできないことを頑張ろうと思います。
またいつか!